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C++講習 第3回 ~関数,ポインタ,参照

関数

関数とは処理をまとめた箱のようなものです.

fig8

基本

関数は以下のようにして定義呼び出しをします.関数において,入力する値を引数(ひきすう),出力される値を返り値または戻り値といいます.

int f(int x){
    return 2 * x;
}

int main(){
    int y;
    y = f(16);
    printf("%d\n", y);
}

定義

関数を作ることを定義といいます.定義は以下のように一般化できます.

返り値の型 関数名(引数...){
    処理
    return 返り値;
}

型については変数の項を参照してください.上の例ではxという引数をとり,それを2倍した値を返り値として出力しています.

呼び出し

関数を実際に使うことを,呼び出しといいます.上の例では関数fを7行目で呼び出していて,yという変数にf(16)の値,ここでは32を代入しています.

スコープ

上の例でxという引数を使いましたが,これはmain関数内で使うことは当然できません.これはxのスコープが関数fの中だからです.スコープとは変数の有効範囲のことで,ブロック内で宣言した変数のスコープはそのブロック内に制限されます.

ローカルとグローバル

スコープがブロック内に制限されている変数のことをローカル変数といい,スコープが全範囲の変数をグローバル変数といいます.ブロックの外で宣言した変数はすべてグローバル変数になります.

返り値のない関数

特に組み込み系の制御では,関数に返り値を必要としない場合がよくあります.このとき,返り値の型として void を使います.よく使うので覚えておいてください.

プロトタイプ宣言

関数の定義は呼び出しの前に行わないとエラーになりますが,コードが読みにくくなるなどの都合で呼び出しよりあとに定義を行いたいことがあります.このとき,先に宣言だけしておくプロトタイプ宣言をします.上の例を書き換えると

int f(int x);

int main(){
    int y;
    y = f(16);
    printf("%d\n", y);
}

int f(int x){
    return 2 * x;
}

プロトタイプ宣言は,関数の名前と引数だけを抜き出したものです.

デフォルト引数

関数の引数のデフォルトの値を指定することができます.デフォルトの値は,引数が指定されていないときに用いられます.

int f(int x = 5){   //デフォルト引数を指定
    return 2 * x;
}

int main(){
    int y;
    int z;
    y = f(16);      //これだと返り値は32
    z = f();        //これだと返り値は10
    printf("%d\n", y);
}

アドレスとポインタ

ここは正直かなりめんどくさいです.めんどくさい,というのは概念自体は大して難しくないが無駄にこんがらがっていて理解するのにリソースを消費する,という意味です.ただ,ここを理解しないと次の参照が理解できないので頑張って付いてきてください.

アドレス

コンピュータにおいて,実行中の作業はすべてメモリに保存されています(メモリが8GBとか16GBとかいうのはその実行中の作業を保存できる領域のことです).そのメモリに保存される内容として,実行中のプログラムにおける変数も例外ではありません.この変数が実際にメモリのどの場所に保存されているかを表す値を,変数の住所といった意味をこめてアドレスと呼びます.

変数aのアドレスは&aと表します.以下のプログラムを実行してみてください.

int main(){
    int a = 0;
    printf("%d\n", &a);
}

変な数字が表示されると思います.これは,実際にaという変数が保存されているメモリ上の住所を示しています.メモリのどこに保存されるかはコンピュータの状態によって逐一変化するので,実行するたびにこの値は変動します.

ポインタ

ここの説明はかなり邪道です.見る人が見たら怒られるかもしれませんが,個人的に一番わかりやすいと思うのでこの方法で説明します.
以下の例を実行してみてください.

int main(){
    int a = 0;
    int b = &a;
    printf("%d\n", b);
}

bというint型の変数を立てて,そこにaのアドレスを代入しています.一見うまくいくように見えますが,実はこれは誤りです.アドレスは普通の変数と違い,intfloatなどの型に代入することができません.ここでアドレスを格納するための新たな型を用います.それがポインタと呼ばれる,int*型などの変数です.
上記の正しいプログラムはこうなります.

int main(){
    int a = 0;
    int* b = &a;
    printf("%d\n", b);
}

同様に,floatの変数のアドレスはfloat*型のポインタに,char型の変数のアドレスはchar*型のポインタに代入する,といった形になります.アドレスを代入するため専用の*型の変数があるんだな,と理解してもらえるとわかりやすいと思います.

ポインタの中身を見る

ここで,このような例を実行するとどうなるでしょうか.

int main(){
    int a = 0;
    int* b = &a;
    printf("%d\n", *b);
}

0が表示されたと思います.これは紛れもなくaの内容です.このように,ポインタの名前の前に*をつけるとそのポインタに格納されたアドレスの先にある変数の中身を見ることができます. 理解するのに少し時間がかかると思いますが,ここを理解してから次に進んでください.

問題

cという変数を4で初期化し,dというポインタにcのアドレスを代入し,dを用いてcの値とcのアドレスをそれぞれ表示するプログラムを書いてください.

補足

ここがさらに話をややこしくする原因なのですが,一応書いておきます.

int* a;     //これと
int *a;     //これは同じ意味

int*型という理解に反してしまいますが,上記の2例は同じ意味になります.これは読めれば大丈夫です.

関数にポインタを渡す

例えば,以下のプログラムを実行するとどうなるでしょうか.

void func(int x){
    x++;
}
int main(){
    int a = 4;
    func(a);
    printf("%d\n", a);
}

期待される実行結果は5ですが,実際の実行結果は4です.なぜか.これは,関数が値渡しだからです.main内6行目でfuncaを渡していますが,これはaの値の4を渡しているだけであって,func(4);と書いているのと変わりません.つまり,呼び出しの時点で変数aという情報が失われてしまっているのです. これを解消するにはどうすればいいでしょうか.関数にアドレスを渡してやれば,aという情報を保てそうです.

void func(int* x){
    (*x)++;
}
int main(){
    int a = 4;
    func(&a);
    printf("%d\n", a);
}

書き直した例では,引数がポインタになっています.このint*型のポインタにaのアドレス,つまり&aを渡してやります.この関数の中では,渡されたアドレスの先にある変数の中身を見て,その変数を1加算します.それによって,a5になり,出力として5が表示されるということです.

問題

2つの引数に対し,それぞれを2倍する関数をポインタ渡しを使って書き,main内で呼び出してみてください.

参照

アドレスとポインタをやってみて,おそらく全員が「めんどくさい」と感じたことと思います.実はアドレスとポインタの概念はC++のもととなったC言語の時代に実装された概念であり,C++では非推奨になっています.これを書きやすくした参照という概念を学びます.

参照とは

アドレスとポインタを単純化したものです.

int y = 8;
int &x = y;
printf("%d\n", x);

こうすると,ポインタとアドレスを用いることなくyを用いずにyの内容を参照することができます.変数に別名をつけると考えるとわかりやすいかもしれません.

ポインタ渡しと参照渡しの書き換え

先ほど苦労したポインタ渡しの関数は,以下のように参照渡しで書き換えることができます.

void funcA(int* x){
    (*x)++;
}               //これと

void funcB(int &x){
    x++;
}               //これの処理は同じ

int main(){
    int a = 4;
    int b = 4;
    funcA(&a);  //アドレスを渡す
    funcB(b);   //変数そのものを渡す
    printf("%d, %d\n", a, b);
}

こうすることで,変数の情報を保ったまま関数内で用いることができます.自分なりにかみ砕いて理解してみてください.

問題

先の問題の答えを参照渡しで書き換えてみてください.

今後はアドレスとポインタは用いず,参照を用いていきます.

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